2022年。
今季もJリーグが開幕する。
コロナ禍になり3シーズン目を迎えることとなるJリーグ。
得体の知れない新型ウイルスの国内感染が確認され、Jリーグがストップしたのが2年前のシーズン中。
活気のあるスタジアムから声が消え、密が禁止され、さまざまな対策やルールを何度も定めながらここまでJリーグは開催されてきた。
こんなにも長い時間苦しめられること、我慢が強いられることになるとは思いもよらなかったが、それでもJリーグは今季もここに、在る。
プレーする選手たちも。
クラブを創り歩めるスタッフたちも。
声は出せずとも熱い魂を持って応援を伝えるサポーターも。
Jリーグという場に、特別な想いを持って。
今季も、スタートを切る。
2018年9月
大きな地震が北海道地方を襲った。
最大震度7。明け方に近い深夜、北海道胆振地方を中心に突如として襲った大きな地震は、その直後から広大である北海道全域に被害を広めた。
電気の遮断によるブラックアウト現象。停電が北海道全域に渡り、数日間電気のない厳しい生活を送った。
震源地近くの胆振地方を中心に山崩れや地割れ、液状化、建物倒壊などの被害も大きく、北海道最大の都市・札幌でも多くの家屋が液状化などの影響で倒壊。
道路が割れ、水が噴き出し、電気がなく、水が止まったところも多くあった。
大きな被害が出た近隣の小学校では校庭に大きな地割れが起き、改修工事が必要となり安全に子供たちが校庭を使えるようになるまで約1年間という時間を要した。
この間、校庭を使用していたサッカー少年団の子供たちは練習場所を失い、この先どうなるのかという不安を持って過ごしていた。
学校の校庭が使えなくなったことで、少し距離のある場所でサッカーができる環境を用意したものの
多くの子供たちが近所でサッカーをするという利点を持って入団するサッカー少年団において、距離のある場所に通いながらサッカーをするということが壁になったり、場所の確保の関係により練習回数が減少してしまうなど地震の影響による我慢は長い時間、続いていた。
地震の爪痕がまだ残る翌年、5月。
流通経済大学サッカー部が天皇杯の試合で札幌市に滞在していた際、被災した地のサッカー少年たちに将来プロ選手となるであろう選手が在籍し大学サッカーの強豪である流経大の選手たちを観て感じてほしいと天皇杯激励会を兼ねた交流会を行った。
当時、東京五輪に向けたU21代表候補に選出されていたオビ・パウエル・オビンナを始め、プロサッカー選手に負けない身体の大きさと迫力を持った多くの選手たちを前に子供たちは目を輝かせた。
当時3年生だった伊藤敦樹(→浦和レッズ)と4年生だった山口大輝(→いわきFC)による簡単なパス交換のプレーを披露してもらったが、体育館に響くズパァァァン!という音。かなりの速さと重さ、強度のあるボールであっても確実にコントロールする正確性。
間近で観て感じる
「これがプロの舞台に進む選手なんだ」という体験に、子供たちは興奮し、目をキラキラさせ目をまん丸にして、その時間を楽しんだ。
激励会では地元中学校の吹奏楽部が演奏し曲を届けたが、吹奏楽部員の女の子たちの多くは、はじめて目にするサッカー選手の身体の大きさと、学校のサッカー部の男の子たちとは全然違ったオーラと空気で感じる「本物」感を前にして、
かっこいい!!とはしゃぎ、かっこよかった!ありがとうって言ってくれた!と興奮し、喜んだ。
選手たちも、そんなに耳にする機会のない吹奏楽という音楽の迫力と、
自分たちのために演奏されるという機会にこんなにキレイな音楽は初めてだったし感動した、自分たちがこんな遠く北海道で応援をしてもらえると思わなかったからとても嬉しかった、と口にした。
当時、流経大は関東大学リーグで苦しんでいた時期だったということもあり、この交流会で中学生や小学生から手渡されたメッセージカードを力にしようとその後、リーグの試合会場に持って行ったという選手や、寮の自身のベッドの横に貼って毎日目に入るようにしたという選手も。
この機会を通じて、あの時に来ていた選手だからとその後注目し、憧れを持って応援を続けた子供たち。
応援してくれたと実感し、その想いをきちんと持っていようとした選手たち。
あの日、あの時。
天皇杯のため札幌に来た選手たちの中にはまだ在学中の選手たちも数名いるが、卒業したほとんどの選手がプロサッカー選手となった。
あの時、交流した選手たちが目の前にいた選手たちが、Jリーガーになったのだ。
この事実が、どれだけ子供たちの「夢」となり、「目標」になっているか。「自慢」となり、さらなる「応援」となっている。
サッカーをしている子供たちはもちろん、サッカーに興味を持っていなかった子にとっても
ほんの少しの時間だったかもしれないが、時間を共有し交流したという事実がきっかけとなり、Jリーグの舞台に彼らを観に行くことができるという歓びと刺激に繋がっている。
今、コロナ禍によりファンサービスや交流が難しい現状にあるJリーグ。
もちろん健康第一、安全第一が優先で、現在は厳しく難しいことに変わりないが、少しずつ各チームが練習見学やファンサービスなど人数を限ったり日にちを限りながら解禁されてきている。
気軽に練習見学に行ける、気軽にファンサービスに対応してくれることも、Jリーグの良さのひとつであり、そういった交流やきっかけで応援しよう繋がる子供たち、もらったサインが嬉しくてもっと頑張ろうと奮起する子供たちが絶対にいる。
子供たちのサッカーをするための「理由」にもなるほどの、大きな影響がある「交流」、そして自分の目で耳で肌で感じることができる観戦という場がとても大切だと思うのだ。
目の前でサッカーを観て、テレビで観るものや想像とは全然違うスピード感と迫力。
サッカー選手の身体の大きさや逞しさ、オーラを感じて。
すごい。かっこいい。という興奮を味わえる。
その機会が在るということが、Jリーグの発展にもサッカー界の発展にも 子供たちの未来を描くきっかけにも大きく繋がるはずだ。
目の前で観た、交流してくれた、応援を伝えたい選手たちが。
今季もピッチの上で走ってくれること。
その姿に勇気もワクワクもドキドキも 貰えること。応援してきてよかった、これからも応援したいという気持ちにさせてくれること。
そういうたくさんの子供たち、たくさんの人たちの想い溢れるJリーグを 今季も期待し願っています。
Jリーグ2022シーズン
2月18日 金曜日、開幕。
TEXT: IIMORI TOMOKO
EDIT: SHIOZAKI TAKAHITO
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